中学受験でよく出題される日本国憲法「前文」の覚え方!

✔ 前文は覚えなきゃいけないの?

✔ どうやったら前文を効率よく覚えられるの?

という方に向けて、今回は前文の覚え方について書いています。

記事内容は、メルカリで販売しているこちらの教材の一部になります。

目次

中学受験では前文は第2文まで覚える

結論からいいますと、中学受験では前文は第2文まで覚えましょう。

なぜなら過去問で出題されている前文がここまでだからです(第3文以降の出題が把握できた場合は補足更新していきます)。

なお、2022年の同志社国際中学(京都)の入試で、前文の出題ミスがありました。

 同志社国際中学(京都府京田辺市)は15日、今年1月に実施した入試の社会科で出題ミスがあり、採点をやり直して2人を追加合格としたと発表した。
 ミスがあったのは、憲法前文の1文目を簡単にした文章の空欄3カ所を選択肢の言葉で埋める問題。
 空欄の一つは「(1)のもたらす恵み」の(1)。選択肢の「平和」を正答としていた。正しくは「自由」。だが、選択肢に「自由」はなかった
 入試問題集を出している出版社から今月9日に指摘を受け、発覚した。

引用元:朝日新聞DIGITAL

選択肢にないというのは、なかなかのミスですね。

前文の全体像

前文とは、日本国憲法の基本原則や理想が宣言された部分です。

まず全体像を確認してみましょう。(参考に同志社国際中学のミスの部分を赤くしています)

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍さんかが起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

 そもそも国政は、国民の厳粛げんしゅくな信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅しょうちょくを排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高すうこうな理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。

 われらは、平和を維持し、専制と隷従れいじゅう、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

とても長いです。でも大丈夫。

中学受験で覚えるのは、第2文までです。

前文の第1文及び第2文

 (第1文)日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

 (第2文)そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。

前文の第1文と第2文の覚え方

第1文の覚え方

第1文を、次のように4つのパートに分けます。

❶日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、

➋われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、

➌政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、

➍ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

第1文は、①間接民主制(代議制)、②基本的人権の尊重、③平和主義(戦争放棄)、④国民主権 の順で書かれています。

これを上の➊から➍に対応させると覚えやすくなります。

➊日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、①日本は選挙代表者を選ぶ間接民主制が採用されている 例外)憲法改正の国民投票は直接民主制
➋われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、②私たちとその子どもたちのために、外国との協力による成果や自由の保障による恵みを大切にしている(人が生まれながらにして持つ権利である基本的人権の尊重が示されている)
➌政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、戦争を再び起こさないとする平和主義(戦争放棄)が示されている
➍ここに主権国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。主権国民にあるとする国民主権が示されている

第2文の覚え方

第2文も、次のように4つのパートに分けて覚えます。

➎そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、

❻その権威は国民に由来し、

➐その権力は国民の代表者がこれを行使し、

➑その福利は国民がこれを享受する。

第2文は、リンカーンがゲティスバーグで行った演説のなかの言葉「人民の、人民による、人民のための政治」(government of the people, by the people, for the people)が参考にされています。

これを今度は、➎から➑に対応させると覚えやすくなります。

➎そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、政治 ⇒ そもそも国の政治は、国民から信じて託された厳粛なもの
❻その権威は国民に由来し、人民の ⇒ 国民に由来する権威の(政治)
➐その権力は国民の代表者がこれを行使し、人民による ⇒ 国民の代表者が行使する権力による(政治)
➑その福利は国民がこれを享受する人民のための ⇒ 国民が享受する福利のための(政治)

(最後に)穴埋め問題で確認

穴埋め問題

 日本国民は、正当に(  )された国会における(  )を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との(  )による成果と、わが国全土にわたつて(  )のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び(  )が起こることのないやうにすることを決意し、ここに(  )が(  )に存することを宣言し、この憲法を確定する。

 そもそも国政は、国民の厳粛な(  )によるものであつて、その権威は国民に(  )し、その権力は国民の代表者がこれを(  )し、その福利は国民がこれを(  )する。

いかがでしたか。全部埋められましたか?

前文も第2文までであればそれほど大きな負担にはなりません。

それよりも圧倒的に出題されるのは憲法本体の条文の方です。

全部で40個近くを覚えなければいけません

その40個については、こちらの記事で書いていますので参考にしてください。

ポイントを押さえて効率よく覚えていきましょう♪

それでは、今回はここまでとなります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • こんにちは突然すみませんわたくしの学校では憲法前文の小テストと定期テストがあるのですが、この解説が一番わかりやすくすぐに覚えられたのでもしよろしかったらこの先の解説も作っていただけたらと思ってコメントさせていただきました。

    • 海さま、こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      当サイトは中学受験向け(小学生向け)をコンセプトとしているため、前文のうち第3文以降はオーバーワークとなってしまいます。
      そのため、ブログ記事にする予定はございませんでしたが、以下簡単に意訳をのせましたので参考にしてください。
      また、第3文以降は、日本が世界唯一の被爆国によることの平和主義の願いが強く表れています。
      そのことを前提に意訳を読んでいただいて、前文暗記のお役に立てれば幸いです

      ≪前文(第3文以降)≫
      「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。

       われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

       われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

       日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」

      ≪意訳≫
      「日本の人たちは、いつまでも続く平和を願って、同じ人間同士仲良くやっていけると考え、外国のみんなだって平和を愛しているはずだからそれを信じて、安全に生きていこうと心に決めたんだ。

       私たちは、平和を守り、どんな国でも人を支配したり奴隷にしたり、押し付けたり差別したりすることをなくそうと努力する世界の一員として、尊敬されたいと思っています。私たちは、世界の国の人が、平等におびえることも苦しむこともなく、平和に生きる権利があることが大切だと考えています。

       私たちは、どの国も、自分の国のことばかりに熱心になるあまり他の国を無視してはいけなくて、政治や道徳のルールは、どこでも共通で、そのルールを守ることは、自分の国の権利を維持し、他の国と対等な関係を築くための各国の責任であると信じています。

       日本の人たちは、日本の名に懸けて、この大切な理想を実現するために全力を尽くすことを誓います。」

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