角川まんが『日本の歴史』で「2023年度 東邦大学付属東邦中学校」の入試問題(歴史)は何点とれる?
こんにちは、ゴロブーSTUDIOです。
今回は、角川まんがで何点取れる?シリーズの「2023年度 東邦大学付属東邦中学校」の入試問題です。
名前が長いので東邦中と呼ばれますが、千葉県の私立御三家No3の中学校です。
ちなみに、千葉の御三家は「渋幕>>市川=東邦」のようなイメージで、渋幕が頭ひとつ抜けています。
千葉県組の受験生なら、渋幕をチャレンジ校とし本命を文系の市川中にするか理系の東邦中にするか、というような選択肢かと思います。
今回は、そんな東邦中について、角川まんが「日本の歴史」をマスターしていれば、何点取れるのかを検証してみました。
角川まんがを持っている千葉県組はぜひ参考にしてください。
検証結果
問題難易度:Aランク(S、A、Bの3段階)
全体構成:社会(45分/100点)は大問が3つあり、大問1が地理、大問2が歴史、大問3が公民を中心とした総合問題となっています。今回は大問2の検証となります。
大問2 | 正答 | 内容 | 角川まんが掲載 |
問1 | イ | あ:阿武隈、い:最上 | ノーカウント |
問2 | ウ | 伊勢国:三重県、信濃国:長野県 | 〇(2巻 巻末) |
問3 | ウ | 東海道 | 〇(10巻 P18) |
問4 | カ | 新井白石 ⇒ 青木昆陽 ⇒ 杉田玄白ら ⇒ 伊能忠敬 | 〇(10巻 P84、P99、P149、P205) |
問5 | ア | 朝倉氏 | 〇(8巻 P44) |
問6 | エ | 中国の都をまねて、藤原京をつくることを命じた | 〇(13巻 P138~139) |
問7 | イ | 清は朝鮮が完全な独立自主の国であることを確認する | 〇(13巻 P81) |
問8 | ア | 納税額による制限のない、満25歳以上のすべての男子 | 〇(9巻 P178) |
角川まんがを用いた試験問題の解説と対策
問1、ノーカウント
地理に関する問題のため、今回の検証ではノーカウントとしています。
理由は次のとおりです。
問題文は少し読解力がいるかもしれませんが、結局は問題文に与えられている「陸奥国の内陸部(現在の福島県)」を流れる川(答えは阿武隈川)と、「出羽国の内陸部(現在の山形県)」を流れる川(答えは最上川)を聞いている地理の川に関する問題と同じです。
また、本文に( )書きで県名まで書いているので、旧国名に関する知識も問1に関しては必要ありません。
以上を踏まえて、地理に関する問題であるため、歴時の問題としてはノーカウントとしています。
ちなみに、SAPIXのコアプラス(P40、41)で、阿武隈川、最上川、北上川はいずれも掲載されていますので、入試問題の出題のされ方は少し変則的ですが、コアプラスをしっかり解いている人にとってはそこまで難しくなかったのではないでしょうか。
問2、角川まんが掲載〇
旧国名に関する問題です。
角川まんがでは、随所に旧国名が出てきた場合、欄外に「今の何県」と解説がつきます。
また、旧国名の日本地図の全体マップが2巻の巻末にあります。
まんがを読んでいる中で、会話や説明に旧国名が出てきた場合は「2巻の巻末」をその都度見て地図の場所を確認するクセをつけるといいです(もしくはコアプラスのカラー2ページ)。
旧国名は全部とはいいませんが、最低でもコアプラスにある日本地図の赤文字は覚えなければいけません。
今回は、伊勢国(答えは三重県)と信濃国(答えは長野県)でしたが、どちらもよく聞く旧国名であるため比較的やさしめの問題でした。
問3、角川まんが掲載〇
五街道の選択問題です。
まんが10巻の18ページでまさに伊勢国から来た商人一行の会話があります。
そこで日本地図をもとに五街道の説明があります。
今回は伊勢国から江戸のルートなので東海道が正解です。
五街道の中では一番分かりやすいのが東海道のため、この問題もそこまで難問ではありません。
問4、角川まんが掲載〇
江戸時代に活躍した学者の並べ替え問題です。
これは、難しい並べ替えの問題です。
出来事の内容ではなく、文学や学問の作品のみの並び替えで、しかも全て江戸時代の内容のため難問の部類です。
いずれも、年号は知らなくて当然なのでその背景で並び替えをしなければいけません。
a.青木昆陽の『蕃薯考』(ばんしょこう)を発表は、18世紀前半の1735年。こんな年号を知っている人はいませんので、徳川吉宗が飢饉対策のためさつまいもの栽培を奨励したことを知っているかどうかになります。
一応、まんが99ページでは、吉宗が青木昆陽の名前を出す場面が出るのですが、あまり印象には残らないかもしれません。
塾によっては、青木昆陽の名前までは出てこないかもしれませんが、徳川吉宗の享保の改革(1716年)で、上米の制や新田開発と一緒にさいつまいのもの栽培をすすめたと習うはずですので、再度頭に入れておきましょう。その他、目安箱、公事方御定書も大事ですね。
b.新井白石の『西洋紀聞』を書いたのは、18世紀初めの1715年。新井白石の正徳の治が始まる1709年は覚えるべき年号なので、この辺りと考えればよいでしょう。ちなみに、まんが84ページでは新井白石が政界を引退した後に、これを書いている場面があります。
c.伊能忠敬の「伊能図」完成は1821年。19世紀前半辺りから外国船の接近が増え、幕府も海岸線や島の備えを強化するため、1800年に伊能忠敬に地図を作るよう命じました。伊能忠敬は17年もかけて全国の沿岸を測量し、地図は忠孝の死後完成しました。
d.杉田玄白らの『解体新書』を書いたのは1774年。18世紀後半は、新しい学問の研究が進み始めた年代で蘭学もその1つです。よくセットで登場する本居宣長は『古事記伝』を著し、国学を大成しました。
いずれも、まんがでは順番に登場人物は出てくるので、流れをマスターしていれば解けますが、なかなか難しい問題かと思います。
問5、角川まんが掲載〇
越前国に関する問題。
越前国を支配してた戦国大名は誰かという問題。少し難しいですかね。
まんがでは何回か登場するので、このあたりが好きな男子はある程度分かるかなと。
戦国時代に全く興味のない子(特に女子)は印象に残らないかもしれません。
朝倉義景は近江国の浅井長政と手を組んで、織田信長と対立します。
再度、まんがを読んで流れを把握しましょう。
問6、角川まんが掲載〇
奈良時代の天皇に関する問題です。
難しめの問題です。
2段階ステップ式の問題で、まず、第1段階でどの天皇のことなのかを判断する必要があります
「大津が激戦地となった古代最大の内乱」は、古代最大がヒントで672年の壬申の乱と分かります。
この壬申の乱で出てくる歴史人物は、名前がどれも似ているため非常に覚えにくいです。
受験生もここは嫌がります。
壬申の乱とは、天智天皇の跡継ぎをめぐり、大海人皇子(天智天皇の弟)と大友皇子(天智天皇の子)が争った戦いです。そして、その戦いに勝った大海人皇子は天武天皇に即位します。
これが中々覚えられません。名前が似すぎていますし、そもそも読めません。
ここで、ゴロブーSTUDIOのオリジナル教材のゴロ合わせを紹介しておきますので参考にしてください。
赤が重要語句、青がゴロ合わせだよ。
「大海人皇子が天智天皇の子に勝つ」というシーンが想像できるようゴロ合わせを作っています。
壬申の乱では大友皇子の名前は覚えなくても大丈夫です。勝利して天武天皇になった大海人皇子が大事です。
さらに言えば、「胸に」の「ム」から「天武」の「ム」を連想させると、勝った大海人皇子が天武天皇に即位することまで覚えられます!
そして、問題に戻りますと、第1段階の天武天皇が分かりましたので、次は天武天皇の行ったことがらとして正しいものを選ぶ第2段階です。
アの全国に国分寺、都に東大寺を設けたのは聖武天皇ですね。これは比較的簡単な選択肢です。
イの隋に使いを送り、また天皇への忠誠をうながす制度を定めたのは聖徳太子ですね。これも比較的簡単な選択肢です。
ウの庚午年籍という戸籍の作成を命じたのは天智天皇です。これが難しい選択肢だと思います。ただ、まんがでは2巻の109ページに「庚午年籍」の完成(670年)とその説明がされています。
エの藤原京をつくることを命じたのが、今回の正解の天武天皇になります。
このエが曲者です。多くの子が、ぱっと判断できない選択肢だと思います。
というのも、コアプラスを単純に一問一答形式でやっていると、91ページに「(持統)天皇は、694年に藤原京へ都を移しました。」という設問があるため、「藤原京=持統天皇」と覚える子が大半だからです。
ただ、今回の選択肢は、藤原京をつくることを「命じた」とありますので、「移した」という完成ではなく始まり(スタート)の話しですね。
藤原京は天武天皇が造営を始め、その妻の持統天皇が完成させた都になります。
まんがでは、実際に命じるという場面ははっきりとは掲載されていませんが、P138~139にかけての流れで天武天皇が亡くなる前に、妻(後の持統天皇)へ後の都のことは託していることが分かります。ここは少し微妙なラインではありますが、他の選択肢はまんができちんと判断できるため、今回は角川まんがをマスターしていれば正解できると判断しています。
問7、角川まんが掲載〇
下関条約に関する問題です。
まんがでは、陸奥宗光外相が「清は朝鮮を独立国と認めること」と言っています。
他に、下関条約で重要なのは、①多額の賠償金を得たこと、②遼東半島を獲得したことになります。
また、②に関しては、この翌年にロシア・ドイツ・フランスが、遼東半島の中国への返還を求めた「三国干渉」が大事です。
年表で必ず確認しましょう!
問8、角川まんが掲載〇
東廻り航路と西廻り航路に関する問題です。
まさに、まんがでは日本地図を使って説明しています。
この地図から分かるとおり、西廻り航路は、酒田(山形)からスタートして日本海側を南下し瀬戸内海を通って大阪へ向かうルートです。よって、九州地方の西側は通りません。
ただ、このルートを知らなくても文章から一応読み取れるようにはしていますが、旧国名をしっかり覚えていないと読み取りは難しいかもしれません。
そして、選択肢を見ると吉野ケ里遺跡は「佐賀県」なのでこれが誤りとなります。
✔ 東廻り航路:出羽の酒田(山形)から太平洋側を南下し江戸へ向かうルート。
✔ 西廻り航路:出羽の酒田(山形)から日本海側を南下し瀬戸内海を通って大阪へ向かうルート。
引用元:角川まんが学習シリーズ「日本の歴史」HP
2023年度 東邦大学付属東邦中学校 入試(歴史)まとめ
以上より、角川まんがをきちんとマスターしていれば、歴史パートは100点という結果になりました。
ただ、今回の試験内容は、問題文に旧国名がばんばん出てくるため、旧国名がうろ覚えの子にとっては少し難しい問題だったかもしれません。
そのため、中学受験においては、旧国名は全部覚えるとまではいかなくても、全て見たことあるぐらいまでの精度は高めた方がいいことが分かります。
対策として、「社会コアプラスの巻頭カラーP2」をA3に拡大コピーして壁に貼って覚えること、または、「角川まんがの巻末ページ」をA3に拡大コピーして壁に貼って覚えることです(すぐに見られる状態にしておくのがポイント)。
後、試験問題の中身というよりは問題形式についてですが、今回の2023年度の東邦中の試験(歴史)の問題形式は全て記号で解答する問題でした。
御三家の入試問題で、記述問題はおろか用語問題すら出さないというのは、正直どうなの?と感じました。
学校側が採点で楽したいのか分かりませんが、このような問題形式だと、全く対策してない子でもほとんどの問題が25%の確率で正解になるため、努力した受験生とそうでない受験生との差が出にくい問題形式となっています。
まだ2023年度の試験問題しか検証していませんが、もう少しバランスのよい問題の出し方を期待したいです。
それでは、また次回は2022年度を検証したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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