<2024年度最新版>中学受験向け「歴史まんが」で一番おすすめは〇〇であるたった1つの理由
歴史まんがには、いろんな出版社のシリーズがあるので、どれを買えばいいか悩みますよね。
既に多くのブログやYoutubeで各出版社の比較・検討が細かくされていますが、今回は価格やサイズなどの表面的な比較ではなく他とは全く違う切り口の比較記事を書いています。
今回の記事を読んでいただければ、本質的に中学受験に最も適した歴史まんががどれか分かりますので、ぜひ最後までお読みいただければと思います。
大手出版社5社の比較
小学館、講談社、学研の3社はおすすめしない
まず、今回比較する出版社は、次のとおりです。
小学館、集英社、角川、講談社、学研の5社
よく比較される有名な出版社5社ですね。
どの出版社も自分のところが1番おすすめだと、HPでは大きく宣伝しています。
いきなりですが、当サイトでは、小学館、講談社、学研の3社については中学受験向けにはおすすめしていません。
おいおい展開早すぎだろ!と思うかもしれませんが、この点については既に他のブログやYoutubeでもたくさん検討されており、だいたいどこも中学受験向けにはおすすめしないという結論になっているかと思います。
3社をおすすめしない理由
念のため理由を挙げておきますと、この3社が中学受験向けにおすすめしない理由は情報量の過不足です。
小学館と講談社は情報量が多すぎる。
学研はそれが不足している。
これに尽きます。
歴史まんがの各出版社(学研を除く)は、どの出版社も「大学受験まで使える!」というキャッチフレーズを掲げています。
ただ、中学受験用の歴史まんがを購入する際に、この基準は特に優先すべき項目ではありません。
今は中学受験の勉強に集中しなければいけない時であって、6年先の大学受験の勉強法を考える時ではないですよね。
一見、大学受験まで使えると思うと得した気分になりますが、大学受験向けの歴史まんがは情報量があまりにも多すぎて、小学生にとっては完全にオーバーワークとなります。
例えば講談社は、ほぼ全てのページに豆知識があり余白にそれがびっしりと書いてあるため、小学生の場合は読むだけで疲れてしまいます(現に、我が家の新小5が試しに読んだらそうでした)。
小学館も同様で、1ページの文字量(情報量)が多い上に、歴史背景を忠実に余すことなく描いているため完全に大学受験用です。
集英社と角川も大学受験まで使えるというキャッチフレーズですが、この2社は小学館、角川よりもほどよく内容が省略されており、5社の中では中学受験向けに適した情報量です。
中学受験の社会の勉強は、歴史だけではなく地理や公民もあり、最後は時事も同時並行で勉強していかなければなりません。
そのため、いかに歴史を効率よく最速で全範囲を終わらせられるかということが重要であり、そうした意味でも「中学受験に適したレベル」というのが歴史まんがを購入する際の一番重要な選択基準になります。
後、学研に関してはコンパクトに歴史全体がまとめられているため歴史の導入本としてはとても良いのですが、後半の近現代史のパートにおいて情報量が不足しますので、やはり積極的にはおすすめしていません(御三家を受験しない or 小学生履修範囲の歴史を先に学習したい、などの場合は一番おすすめのまんがです)。
よって、次は残りの集英社と角川について比較していきたいと思います。
集英社 vs 角川
それでは、集英社と角川、どちらがより中学受験に適しているか。
この2社について比較検討していきます。
表面的な比較
まずは、2社の値段や巻数などの表面的な比較を簡単に確認だけしておきます。
集英社 | 角川 |
全22冊(内2冊は歴史図鑑) | 全21冊(内2冊は歴史図鑑・辞典) |
集英社 コンパクト版 学習まんが 日本の歴史 全巻セット(全20巻+別巻2) | 角川まんが学習シリーズ 日本の歴史 全16巻+別巻5冊定番セット |
18,590円(税込) | 20,900円(税込) |
どちらもソフトカバー(集英社はハードカバー版もあります)ですが、全体的な冊数は集英社の方が2冊多いです。ただし、各社とも歴史図鑑が含まれているため、本編シリーズだけの冊数の差は1冊です。
よく比較される近現代史の割合は、どちらも8冊で同じです。
それ以外の資料や写真についても、集英社と角川は同じぐらいの掲載ボリュームです。
つまり、集英社と角川の情報量のレベルはほぼ同じ
ということです(若干、集英社の方が情報量は多いですが、中学受験においては特に気にしなくて大丈夫です)。
なので、後はお子さんが気に入った方を選びましょう(^^)/
と、だいたいのブログはここで終わると思うのですが、今回はここからが本題です。
実は、集英社と角川は冊数・値段・情報量はほぼ同じなので、表面的な比較をしてもほとんど差は出てこないのです。
そこで、この2社を比較する際に、最も注目してほしいのが次の項目です。
本質的な比較
2社を比較する上で、最も重要な比較項目は、
歴史人物の印象が残るのはどっちか?
になります。
何だ結局は絵の好みじゃねーか!と思うかもしれませんが、そうではありません。
確かに、まんがの絵の好みは少なからず影響しますが、それよりも重要なのはまんが全体の構成です。
集英社と角川では、このまんが全体の構成において違いがあり、その違いにより歴史人物の印象の残り方に差が出ています。
私が、一番歴史で重要だと思っているのは歴史人物です。
日本の歴史は、大陸から人間が日本にやってきて、そこから人間同士が争い、勝った者が国を治めて、というのをずっと繰り返していきます。
そして、この歴史の流れの中で、各時代に重要な歴史人物が毎回登場します。
この歴史人物がまんがを読んでいる小学生にとってどれだけ印象に残るか、ここが一番重要です。
そこで、この点を比較する際に重要なポイントが2つあります。
比較ポイント1つ目
第1巻で比較してはいけない
ここは多くの人が陥る落とし穴です。
どの歴史まんがにも共通していえることですが、子どもは『日本の歴史』の第1巻を読むと、たいてい「面白い!読みやすい!」と言います。
なぜなら、第1巻というのはマンモスをやっつけて、その後に稲作が始まって、卑弥呼が出てきて、最後に大和朝廷が少し出てくるくらいの内容であり、一言で言えば話が単純で分かりやい時代なんですね。
そして、いざ第2巻に進んでみると、急に登場人物が増えて、さらにその人物の名前が読めず、人間同士の関係もよく分からない、と一気に内容が難しくなります。
こうなると、それ以降はまんがを読むことはなくなります。
実は、我が家(ちなみに上の子の時)がまさにこれで、第1巻を読んで簡単だと調子に乗り、そのまま第2巻に突入したら難しくて挫折してしまい、その後は綺麗に本棚に並んでいるだけでした。
そのため、歴史人物の印象に差が出にくい第1巻で比較してはいけません(というよりもそもそも登場人物が少ないです)。
そこで、今回は鬼門となる第2巻で2社を比較していきたいと思います。
まずは、第2巻では比較的簡単な前半パートの聖徳太子が「十七条の憲法」を読み上げるシーンです。
集英社はこんな感じ
角川はこんな感じ
角川の方が聖徳太子の顔が大きく描かれて迫力があり印象に残りますね。吹き出しの発言にも力が入っているのが伝わります。
ちなみに、なぜここを比較したかといいますと、中学入試ではこの十七条の憲法の史料問題がよく出るからです。
「和をもって」や「三宝とは何か」というのが実際に試験で出ています。まんがではこうした点が自然に覚えられるのでいいですね。
もう少し別の場面で比較してみましょう。
次は、小野妹子が遣隋使として隋に派遣され、隋の皇帝に会うシーンです。
集英社はこんな感じ
角川はこんな感じ
この場面はどちらも隋の皇帝の怒った様子がきちんと出ており印象に残りやすいですね。強いて言えば、集英社の方がカラーのためそちらの方が印象に残りやすいでしょうか。
なお、ここの「日出ずる処の~」という史料も中学入試では頻出の項目です。
他にも色々なシーンを検討しましたが、場面によっては集英社の方が良かったり、角川の方が良かったりと、結果この比較ポイントにおいてもほとんど互角でした。
それじゃあ、結局、集英社でも角川でもどっちでもいいんじゃないの?と思うかもしれませんが
違います。
実は、この歴史人物の印象の残りやすさに関して決定的な違いが1つだけあります。
そして、今回、ここでおすすめのまんがはどこか?の結論を言いますと、
私がおすすめする中学受験向けの歴史まんがは角川まんがになります。
その決定的な理由が次の比較ポイント2つ目です。
比較ポイント2つ目(重要)
それでは、2社の決定的な違いがある項目。それが
「人物相関図」と「各章の始まり」
になります。これが、集英社と角川の決定的な違いです。
どういうことか具体的に見ていきましょう。
まず、人物相関図ですが、角川は最初のページに必ずこのような登場人物同士の関係図がのっています(集英社にはありません)。
これがそんなに役に立つの?と皆さん思うかもしれませんが、実際、私が第2巻で自分の子ども(下の新小5)に試したらめちゃくちゃ登場人物の理解に役立ちました。
具体的に言いますと、まず、小学生が古代の歴史で最初につまづくポイントが壬申の乱です(私の上の子どもは、第2巻の壬申の乱で挫折しました)。聖徳太子まではすんなり読んでいきます。
なぜこの壬申の乱で挫折したかといいますと、この辺りから、中大兄皇子、大海人皇子、大友皇子と、この皇子シリーズが出てきます。もう子どもは訳が分かりません。
まんがの途中で人間関係の説明はされていますが、そもそも名前が読みにくいため中々頭に入ってこないのです。
そこで、私は下の子の場合に、この人物相関図をコピーして横におきながら、壬申の乱の登場人物、その乱が起こる理由、そしてどっちが負けるのかというのを、先にある程度教えてから読ませてみたところ、すんなりとまんがを読み進めてきちんと内容を理解してくれました。
ポイントは、相関図を横においてマンガを読むことです。
この相関図は、表紙のすぐ裏に載っていますが、いったりきたりするのが面倒なのでコピーがおすすめです。
また、相関図に重要な人間に〇をつけたり、戦いに負けた方に×をつけたりして教えると、ものすごく分かってくれます。
ここをきちんとケアしないで子どもに丸投げで歴史まんがを読ませると、高確率で子どもは挫折して読まなくなります。
私も上の子の時にきちんと人物相関図を使っておけばと今では激しく後悔しています。
せっかく2万円も出して買ったまんがセットですから、2巻での挫折はもったいないですよね。
ぜひ、人物相関図はおすすめのポイントなので一度試してみてください。
そして、角川のもう1つ良い点としてあげたのが「各章の始まり」です。
こちらの画像をご覧ください。
角川まんが 第2巻 第3章の最初のページです。
この見開きページで、今回の第3章に出てくる中心人物はこの人たちだよと宣言してくれているわけです。
まさに、先ほど言った事前にある程度の予備知識をもって読んだ方が頭に入ってくるという点ですね。
しかも、よく見てみるとこの3人は壬申の乱で覚えるべき3人です。
そして、この中で明らかに一人だけやられる顔の人がいますよね(一番左端のオーラのない人)。
まんがの絵のこうしたところでも、重要な天智天皇(中大兄皇子)と大海人皇子は印象的に頭に残るので、まんがの絵に強弱がある点も角川はいいですね。
角川は、ほぼ全ての章の始まりのページで、主要な登場人物を載せています。
これが、子どもにとっては、その章を最後まできちんと人間関係を理解して読み進められるかの重要なポイントになります。
さらに、この章の始まりのところで人物相関図も見せてこの3人の関係を確認させておくとより理解してくれます。
一方、集英社の場合はこんな感じです(同じ壬申の乱の章の最初のページ)。
どうでしょう。最初のこの男の人は誰でしょう?
分からないですよね(ちなみに中大兄皇子(後の天智天皇)です。)
普通のまんがであれば、このやり方が正解です。最初のページで人物の名前をいきなりネタバレするなんてあり得ません。
しかし、歴史まんがを読む場合はその逆です。最初に、この章に出てくる登場人物を人物相関図とともに見せて、さらには話の概要まで説明するぐらいないと、初めての子どもは理解できません。
この第2巻は、全くフォロー無しで進めると、ほとんどの子がよく分からなくなります。
逆に、ここを乗り越えれば、ある程度まんがの読み方を確立できると思いますので、是非、保護者の方は子どもが歴史まんがを読まなくなる前に、最初の方だけはサポートをしてあげて親子一緒に読み進めることをおすすめします。
なお、下のYoutube動画では、鉄緑会の日本史担当の方が人物相関図にも少し触れながら角川まんがの魅力を語っていますので参考までにどうぞ。
中学受験向けの一番おすすめの歴史まんが【結論】
いかがでしたでしょうか。
というのが今回の結論です。
集英社と角川では値段や冊数など表面的な比較をしても大きな差はありませんが、私は歴史人物の印象が残るのはどっちかという点を重視した結果、角川の方が読みやすいなと感じました。
ただ、やはりまんがには絵の好みがあると思いますので、一度は書店でお子さんに中身を読ませることをおすすめします。
その際は、1巻ではなく2巻で比較させましょう。なんとなく違いが分かるかもしれません。ただ、2冊を本屋で立ち読みするというのは中々難しいですが・・・
みなさんもお子さんと一緒に色んな歴史まんがを検討し、その中で一番お子さんにあったものをgetしてもらえればと思います。
今回の記事が歴史まんがの購入の参考になれば幸いです。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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