角川まんが『日本の歴史』で「2022年度 東邦大学付属東邦中学校」の入試問題(歴史)は何点とれる?
今回は、「2022年度 東邦大学付属東邦中学校」の入試問題です。
前回、2023年度を検証した際に、歴史パートが全部記号問題だったので、仮にも御三家の1つがこんな問題構成でいいの?という内容でしたが、果たして2022年度はどうなのでしょうか。
角川まんがを持っている千葉県組はぜひ参考にしてください。
検証結果
問題難易度:Aランク(S、A、Bの3段階)
全体構成:社会は大問が3つ(45分/100点)あり、大問1が地理、大問2が歴史、大問3が公民の問題となっています。今回は大問2の検証となります。
大問2 | 正答 | 内容 | 角川まんが掲載 |
問1 | エ | 地方の政治勢力が次々と大和政権に結びついた | 〇(1巻 P173) |
問2 | ク | 「律は政治制度、令は刑法に関する規定」は誤り | 〇(別巻 歴史まるわかり図鑑P49) |
問3 | キ | A:守護、B:地頭、C:将軍 | 〇(5巻 P93、113) |
問4 | カ | A:北前船、B:薩摩藩、C:中国 | 〇(9巻 P177・178、166) |
問5 | ア | A:金、B:銀、C:3 | 〇(11巻 P118、119) |
問6(1) | イ | 与謝野晶子『みだれ髪』 | △(13巻 P135) |
問6(2) | ウ | 八幡製鉄所が操業を始め、重工業が発達してきた | 〇(13巻 P95、96) |
問7 | ア | 納税額による制限のない、満25歳以上のすべての男子 | 〇(14巻 P160、161) |
角川まんがを用いた試験問題の解説と対策
問1、角川まんが掲載〇
大和政権に関する問題です。
まんがでは、山本先生の出張解説で詳しく解説してあります。
大和政権は、3世紀中頃から大王を中心とする畿内の豪族連合軍です。
古墳が近畿地方以外にあることで、地方にも大和政権の影響力が及んでいることが分かるということですね。
比較的よく出る論点のため、落としてはいけない選択肢です。
問2、角川まんが掲載〇
飛鳥時代から奈良時代のできごとに関する問題です。
ア~サの11カ所のうち1つだけ誤っているものを探すというものです。
一つずつ正解も含めて、まんがのページを見ていきますと次のとおりです。
ア 推古天皇 2巻 P53
イ 小野妹子 2巻 P53
ウ 対等な外交関係 2巻 P56
エ 唐 別巻 歴史まるわかり図鑑P48
オ 天皇のものとする 別巻 歴史まるわかり図鑑P48
カ 日本独自の年号 2巻 P90
⇒ 日本で一番最初の元号が「大化」。これは雑学の知識としても有名ですね。「へー」となる知識なので覚えておきましょう。
キ 藤原不比等 2巻 P148
ク 律は政治制度、令は刑法に関する規定 別巻 歴史まるわかり図鑑P49
⇒ 以外知らない人も多いのでは?律は現在の刑法、令は政治の仕組みや租税などの規定をあらわすもので、選択肢は逆のことをいってますね。
ケ 長安 別巻 歴史まるわかり図鑑P52
コ 都市の北端 別巻 歴史まるわかり図鑑P52
サ 和同開珎 2巻 P154
⇒ 富本銭も押さえておきましょう。富本銭は7世紀後半の天武天皇の頃につくられた貨幣で和同開珎よりも前の貨幣です!
まんが本体ではなく、「別巻 歴史まるわかり図鑑」の掲載で角川まんが〇とするのは、若干角川よりの評価な気もしますが、本体とあわせてこの別巻も読むことで、より具体的な歴史の内容が理解できるためおすすめです。
問3、角川まんが掲載〇
鎌倉幕府の成立に関する問題です。どちらもまんがではきちんと説明されていますね。
守護、地頭については良く記述でも問われたりするので押さえておきましょう。
守護…国ごとに置かれ、軍事や警察の仕事を行った地方機関
地頭…荘園ごとに置かれ、年貢の取り立てや土地の管理を行った地方機関
鎌倉幕府の成立は、どこをもって幕府が成立としたとみるのか解釈が色々とありますので直接年号が聞かれることはまずないですね。
中学受験では、守護と地頭が設置された1185年と源頼朝が征夷大将軍となった1192年の2つの大きな説があると理解しておけば大丈夫です。
問4、角川まんが掲載〇
蝦夷地と琉球に関する問題です。
最初のAの北前船に関する説明はまんがで詳しく説明されており、その話のくだりで蝦夷地のこんぶを琉球へ運ぶことも出てきます。
この後の問題文の内容は、外国(中国)との貿易を含めた発展内容の分野ですが、Bは「支配下にあった琉球」というフレーズだけで薩摩藩が解答でき、選択肢を見ると自動的にCの中国も決まってしまいます。
わざと解けるようにしているのか不明ですが、結局、北前船の知識と琉球王国を支配していた薩摩藩のことだけ知っていれば解ける問題でした。
東邦中は、2023年度でも東廻り航路、西廻り航路をおもいっきり出してましたので、この流通関係の分野は好きみたいです。
問5、角川まんが掲載〇
江戸時代後期、金と銀の交換比率に関する問題です。
もちろん資料からも、外国では金の価値が日本の3倍あることが読み取れますが、これと全く同じ内容をまんがでは商人の会話で話しています。
そして、この後、日本から金が大量に流出し、幕府が対策としてつくった貨幣が「万延小判」がまんがに出てきます。これは特に覚えなくて大丈夫です。
問6(1)、角川まんが掲載△
与謝野晶子に関する問題です。
2段階ステップ式の問題で、まず資料の歌よよんだ人物が誰かを把握してから、その人物を写真or作品名から当てるという問題。
問題自体は難しくはありません。
資料は、有名な歌「君死にたまうことなかれ」であり、これを詠んだのが与謝野晶子です。
この歌は、ばっちりまんがに載っていますが、第2ステップの与謝野晶子の「人物写真」と『みだれ髪』というのは角川まんがには出てきませんでした。
そのため△にしてあります。
正直、文学史の項目なので全部ストーリにもってくるのはなかなか難しいのかもしれませんが、まんがではP196から樋口一葉をはじめ、森鴎外や夏目漱石の作品についても詳しく紹介されています。
樋口一葉の絵と『たけくらべ』の作品は、ここで出てきますので覚えておきましょう。
この2人以外で、エの「平塚雷鳥」もよく出る歴史人物ですが、ウの「金子みすゞ」は入試ではあまり出てこない人物ですね。
問6(2)、角川まんが掲載〇
与謝野晶子の歌が詠まれた当時の日本の様子に関する問題です。
上記の歌は、与謝野晶子が戦場の弟を思い詠んだ歌ですが、その戦争が日露戦争(1904年)です。
問題は、この日露戦争の頃の日本の様子はどれかという問題で、一番当てはまるのがウになります。
政府は日本で遅れていた重工業を強化するために、日清戦争で得た賠償金をもとに北九州市に「八幡製鉄所」をつくりました。
アとイは、日清戦争よりも前の話し、エの関東大震災は1923年です。比較的判断しやすい問題ですね。
問7、角川まんが掲載〇
普通選挙法に関する問題です。よく出る論点の1つです。
1925年、加藤高明内閣の頃、普通選挙法の成立と同時に、もう1つの共産主義思想を取り締まるための治安維持法も成立しました。
いわゆるアメとムチですね。こっちの法律も押さえておきましょう。
そして、まんがでは1928年の第1回衆議院議員総選挙も描かれて投票率は驚異の80%超えとなっています。今では考えられない数字ですね。
今回、ここで私の教材のゴロ合わせを紹介しておきますので、よければ参考にしてください。
赤が重要語句、青がゴロ合わせだよ。
近現代史においては、どの内閣の頃のできごとなのかが重要となってきます。首相はころころ変わりますので、まんがで歴史の流れおさえさがら、その際にまんがの首相の顔を印象付けて覚えておきましょう。
さらにゴロ合わせで出来事の内容を補強すれば、年号や重要語句も一気に覚えられるのでおすすめです。
2022年度 東邦大学付属東邦中学校 入試(歴史) まとめ
以上より、角川まんがでは歴史分野90%のカバー率でした。
△10%の内容も与謝野晶子の「人物写真」と『みだれ髪』を選択する簡単な問題です。
きっちり角川まんがで勉強してれば、歴史分野はほぼ100点をとれます。
後、今回の2022年度の問題形式についてですが、2023年度に続いて歴史分野はオール記号の問題でした。
おそらく東邦中はそういうスタンスなのかもしれないですね。
あまり歴史に力を入れていない感が伝わってきます。理系を推しているからなのでしょうか。
次回は、2021年度または市川中学を検証してみたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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